資本金を取り崩して、株主に戻したい
1 資本金を取り崩して、株主に戻したい
① 資本金を減少させるニーズ
『資本金』とは、事業をするための元手となる資金と言えます。
事業を拡大させる場合、より多くの事業資金が必要となって、増資によって資本金を増やしていくニーズがあります。
反対に、事業を縮小させようといった場合には、資本金を減少させたいというニーズも当然あります。例えば、事業を小さくするため、今までのように事業資金が要らなくなるから株主に戻したいというケースもあるでしょう。
このようなケースでは、『資本金の額の減少』や一般的には『減資』と呼ばれる手続を行うことになります。
② 減資をするとどうなるのか
株主総会等の決議を経て、資本金の額の減少の手続をすると、これまで資本金として計上されていたものが、資本準備等に計上されることになります。
言わば、資本金の額の減少をしても、あくまで自己資本内での科目の振り分けに過ぎません。もし、株主に資本金を戻す場合には、別の工程が必要となるのです。この点は旧商法と異なります。
ちなみに、資本金の額の減少には、『債権者保護手続』が必要です。内部的な振り分けの変更でしかないのに、何故『債権者保護手続』が要求されているのでしょうか?
それは、債権者からすると、資本金は、「社内にこれぐらいの財産があるだろう」といった『目安』(あくまで目安です)になるものだからです。その目安を好きなように下げて、配当などを出されては困る場合があるのです。
③ 資本金の額の減少による影響
この時点で、変ったものと変らないものは下記のようになります。
あ)変ったもの 資本金の額
い)変らないもの 自己資本(純資産の総量)
会社が発行している株式の数
一株あたりの価値
④ 株主に払い戻すためには
資本の額を減じた分は、一旦剰余金として会社に留保されます。よって、株主に払戻しをするためには、別途『配当』というかたちをとる必要があります。
通常の配当は、株主総会の普通決議で決定します。年に何回配当をしてもかまわず、定時総会でも特別総会でもかまいません。
なお、『配当』を出すためには、財源の規制があります。資本の欠損が出ていたり、債務超過の会社は配当を出せません。また、会社の純資産額が300万円を下回る場合も同様です。
配当として出せる範囲の計算は複雑ですが、簡単に言えば、社内の余剰部分に限られるということになります。