債権放棄の代わりに株式にしたい
2 債権放棄の代わりに株式にしたい
① 債権放棄の問題点
会社再生の場面において、債権者が一部の債務支払を免除するといった『債権放棄(債務免除)』をしてもらいたい場合があります。現在の会社の資産価値や今後の収益を見込みから、「ここまで負債を減らしてもらえれば、再建できる」というラインを設定し、協力してもらうパターンです。
しかし、実際には債権放棄の合意を取り付けるには高い壁があります。債権者としては立場上、債務免除をするより法的整理を希望することも多く、債務免除の条件として、代表者の経営責任の追及を受ける場合もあります。
また、仮に債権者が債務免除に協力したいときでも、債務の免除した部分に対して、課税を受けてしまうこともあるためです。
② 債権放棄に代わる株式化
上記のような問題点を、回避する方法のひとつとして、『デット・エクイティ・スワップ』の手法があります。債権者に対して株式を交付し、負債を自己資本に振り替えるのです。
もちろん、この手法が成り立つためには、様々な要因が満たされる必要があるでしょう。会社本来の事業価値や将来性、債権者との関係、双方それぞれの立場や状況などが影響します。
③ メリット・デメリット
あ)会社側のメリット・デメリット
メリット
●借入れが無くなるため資金繰りが楽になる。⇒本業に打ち込む環境が出来る
●貸借対照表の内容が改善する
●元の債権者が、再生に対して前向きに対応してくれるようになる
デメリット
●元債権者が経営に参加してくる。
●配当の要求など、シビアな経営を求められる
●元債権者による代表者の降板や会社の売却などもあり得る
い)元債権者側のメリット・デメリット
メリット
●再生が成功すれば、株価が上がって、利益を得られる。
●再生が成功すれば、債務者区分が上昇する
デメリット
●株式の保有のハードルが高い(保有制限や社内ルール、慣行により)
●再生しても、株式の処分が難しい場合がある
●再生が失敗すると、株式の価値が低下する