東芝が狙った会社分割を使った資金調達

経営不調が伝えられる東芝が、半導体事業の分社を行うというニュースがありました。

今回はそのニュースを解説してみたいと思います。

なお、著者は東芝のニュースを詳しく調べているわけではないため、事実と異なる内容もあるかもしれません。

本サイトの趣旨は会社分割等の活用法を広くお伝えすることです。

こんな「使い方もできるんだなぁ」という参考としていただくために、本記事はお読みください。

 

財務内容が悪化した東芝

東芝と言えば、日本を代表する家電メーカ―です。

また家電のみならず、広範囲の事業を行っていたようです。

そんな東芝の苦境が伝えられ、私たちを驚かせました。

財務状況が悪化していて、
その理由は、原発事業の赤字によるものと報道されていました。

もしかしたらそれだけでなく、他の事業も不調だったのかもしれません。

 

半導体事業で資金調達を試みる

財務内容が悪化した東芝には資金を調達する必要が生まれました。

再建のために新たな投資をするにもお金がいります。

通常ならば金融機関などからの借入になるのでしょうが、今回はそれができなかったか、それだけでは補えなかったのでしょう。

本当に必要な時に、銀行がお金を貸してくれないのは有名な話です。

ここで東芝は自社の半導体事業に目を付けました。

半導体事業は東芝の中の優良事業です。

これを使えば資金調達ができるのではないかと考えたのです。

 

東芝の分社の意図

やり方はこのようなものです。

まず、会社分割を使って半導体事業を別会社に分社します。

新たにできたその新会社に、金融機関や投資会社から出資などをしてもらおうとしたのです。

もう少し細かくお話しましょう。

東芝が半導体事業を会社分割で分社すると、その新会社は子会社のかたちなります。

もちろん親会社は東芝で、新会社の株式を保有します。

東芝はこの新会社の株式を売却することで資金を調達しようと考えたのです。

分社前の東芝は業績も財務内容も悪化していました。

こんな東芝に「出資してください」と頭を下げても、どれほどお金が集まるでしょうか。

「お金を出したのに東芝が潰れたら、回収できなくなってしまう」と警戒するのが普通の反応だと思われます。

一方、元気な半導体事業だけを別会社とし、こちらに出資してもらうのはどうでしょうか。

財務内容も健全で事業内容も儲かるものならば、安心して出資ができるのです。

 

良い部分だけ分社で切り出せる

ここまでの話を聞いて疑問が沸いた方がいらっしゃるのかもしれません。

たとえば「東芝の本体は負債が多くなって財務状況が悪化していたのに、分社して作った半導体会社が負債を引き継がないことなんてありえるのか」と。

そうなんですね。

ここが分社手法の使い勝手の良いところなのです。

旧会社の悪い部分を引き継がせないかたちで新会社を作ることは可能です。

おそらく東芝の場合は債権者との協議をし、半導体事業のいい部分だけを分社することで合意をもらっているはずです。

銀行としても東芝が潰れるよりはその話に乗ったほうが良かったのでしょう。

また、「東芝が親会社だから、もし東芝が破たんしたときは子会社の半導体会社が借金を肩代わりしなければいけない」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

そうなればやっぱり投資は控えたほうがよくなりますね。

しかし、親子関係といえども別法人なので、親会社の負債を子会社だからと言って払わなければいけないルールに、法律はなっていません

同様に逆の場合でも、子会社の負債を親会社だからという理由で責任を負うこともないのです。

 

株式売却後の話

東芝は分社で新会社を設立させますが、この新会社を完全に手放す気はないようです。

もちろん丸ごと株式を売却して、すべてを資金化させることもできます。

しかし、虎の子の半導体事業を手放したくないというのが本心なのでしょう。

そこで、半導体の新会社の株式の一部だけを売却しようと考えています。

たとえば、3分の2以上東芝が株式を持っていれば株主総会の特別決議ができます。

ならば3分の1だけ他者に売却すれば、お金を作ることができるし、議決権も押さえられます。

たとえ保有割合が過半数になったとしても、単独で特別決議はできないものの、決議をコントロールすることはできます。

このレベルでよしとすれば、半数は売却できます。

「半導体の新会社を支配しつつ、必要なお金は調達したい」というのが東芝の思惑です。

しかし、思いのほか東芝は痛んでいて、果たして3分の1や2分の1の株式を売却しただけでお金は足りるのか分からないのが実際のところのようです。

 

 

 

以上が東芝の分社の事例です。

正確性に欠けるところがあると思いますが、分社を使って資金調達ができる点などの参考にしていただければ幸いです。

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