行政許認可の会社を兄弟で分ける 

ある行政許認可を受けている会社からご相談がありました。

30年前に父が会社を設立。

今は、兄弟で経営にあたっています。

しかし、ここ数年、経営方針に食い違いが現れるようになってしまいました。

 

専務の弟から「代表権を譲ってもらえないか」という打診を兄にしたことがあります。

しかし、社長である兄は、首を縦に振りません。

そこで分社して別々の会社に分けることを専務は考え、奥村のところに相談に来られたのです。

 

社長は分社に同意してくれるか?

方向性は見えてきたものの、いくつか越えなければならないハードルがありました。

まずは、社長の同意です。

株式を半分ずつ兄弟で持っています。

弟だけが分社を主張しても、それだけでは足りないのです。

兄としては分社に同意する義務はありません。

また意地を張って分社の提案を固辞することも予想されました。

一方からの話を聞いていただけではらちがあきません。

とにかく、一度社長にもお会いして、提案の意味やメリット・デメリットなどをお話させてもらいことになりました。

 

本社を訪問し、社長と面会しました。

これまでの経緯などを社長の口からもお聞きしました。

双方からお話を聞いてみると、認識のずれなどが見つかったりするものです。

ここで修復可能なレベルならば分社案の取り下げを提案しますが、今回の場合は、やはり別々にやった方がよさそうです。

いったんは距離を置くことで、将来的な協力関係が蘇ることもあるでしょう。

社長も僕の話をきき「別の会社にしていくのは仕方ないだろう」と同意をくれました。

 

行政の許認可は引き継げるのか?

兄弟の間で分社するという方針が固まったところで、次はその詳細を詰めていきます。

ここで一番の問題となるのが、行政の許認可です。

許認可は、分社において無条件で引き継げる場合、完全にダメな場合、さらに事前申出等の一定の条件を満たすことで引き継げる場合があります。

また、会社分割を使うか、事業譲渡でやるかによって差が出ることもあります。

分社した後の新会社の内容が見えたところで監督官庁に話を持ち寄り、今後の流れや問題点を協議しました。

いろいろと面倒な手続きはありましたが、どうにかクリアできそうです。

 

会社分割を選択

この案件では会社分割を使うことにしました。

行政の許認可や資本金を新たに用意しないでよい点を考慮してのことです。

そして、専務が引き継ぐ会社を新会社として外に出し、その株式を旧会社に一度持たせることにしました。

いわゆる物的分割のかたちです。

旧会社と新会社は親子会社になります。

その理由は、債権者保護手続きを省略し、コストや時間を節約する意図にありました。

なお、会社分割上の債権者保護手続きは省略しましたが、銀行には個別に分社の説明を行っています。

 

株式の整理は?

会社分割を終了したら、兄弟が旧会社の株式を50%ずつもち、旧会社が100%新会社の株式を持つことになります。

兄弟はそれぞれ干渉されることなく経営できることを望んでいるため、分社後は株式の整理も必要です。

そのためには、弟が兄に旧会社の株式をすべて手渡し、かわりに弟は旧会社から新会社の株式をもらわなければなりません。

株式の整理をするに、法律上は売買や贈与をすればいいだけなので話は簡単です。

しかし、税金等を考えると大きな問題に直面しました。

 

そもそもこの会社は資産が充実していたため株価が高くなっています。

もし弟が旧会社から株式をもらったら、多額の課税が発生します。

かといって売買で買い取ろうとしたら、その金額は何千万にもなってしまう模様です。

 

会計事務所と知恵を寄せ合い、退職金を活用することや旧会社と兄弟の間で資金を回すスキームを見出すことで、この問題は解決することができました。

この件を通じて、会計事務所は国税と何度もやり取りをして税金面の安全も確かめてくれたりと、献身的に関与してくれました。

おかげさまで無事に会社分割を完了することができました。

いろいろありましたが、兄弟はそれぞれの道へ気持ちよく踏み出すことができたのです。

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