会社分割と抵当権消滅請求
Q.会社分割で不動産を取得した場合でも、抵当権者に抵当権消滅請求ができるか?
【解説】
民法第379条に『抵当権消滅請求』の規定があります。
新たに不動産を取得した第三者は、その不動産に抵当権を有する者に対し、「対価支払いを条件として抵当権を抹消しろ」と要求できます。
なお、この抵当権消滅請求を受けた抵当権者はその条件を飲んで抵当権を抹消するか、抵当権実行により競売をかけなければなりません。
果たして、この『抵当権消滅請求』を、会社分割によって不動産を取得した者が利用できるのでしょうか?
民法上、債務者と保証人、ならびにその承継人には請求権が認められていません。
会社分割の場合、新設会社や承継会社が、この『承継人』とされるのかが問題になります。
この『承継人』の代表格は相続人になります。
会社分割も、相続と同様に包括承継としての性質を持っているため、承継人に含まれ、消滅請求を利用できないと考えることができます。
但し、会社分割の場合は、対象となる債務を引継ぐか否かが状況によって異なります。
そのため、債務の帰属によって判断するという主張もあります。
この場合、事業を引継いだ先が債務も承継している場合は抵当権消滅請求ができないが、債務を承継しない場合(債務は従前の会社に残してきて、不動産の所有権は移転した場合)は利用できるという結論になります。

