M&A・再編の場面で
不採算事業だったり、役に立たない資産だったり・・・
このような場合でも、会社分割が誕生する前は、悪い部分に目を閉ざして『合併』によって一切合財を引受けるしか方法はありませんでした。
(※事業譲渡による方法もありますが、その場合との差は別の記事で)
こういった問題も、『会社分割』を使えばスッキリと解決することが出来ます。
会社分割ならば、当事者によって任意に引き継ぐ部分を決定できます。
相続などと同じ包括承継という性質(良い部分も悪い部分も全部承継する)を持つのに、引き継ぐ範囲は任意に決定できるという会社分割の画期的な特性です。
このため、承継会社としては、本当に欲しい部分だけを引継ぐことが出来ます。
反対に、分割会社としては、あげたい部分だけを切売りすることが出来るのです。
もう一つ、M&Aで気になるのが、予定外のリスクの存在です。
相手方が想定外の保証債務を負っていたり、粉飾決算をしていたり、訴訟を起こされそうな潜在的なリスクが存在していたり・・・。
合併の場合では、これらのリスクも全て引き継いでしまいます。
一方、会社分割ならば、これらのリスクを引き離して、必要な部分のみを引き継ぐことが可能なのです。
会社分割ならば!
事業環境が厳しく、個々の会社では将来的に立ち行かないことが予想されているが、会社同士で統合すれば競争力が復活しそうなケースなどが代表例でしょう。
こういった場合に、直接合併によって一つの会社にまとめてしまうことが、手続き的には最短ルートです。
しかし、現実問題として、各社の立場や企業文化などの違いによってそう簡単に一つにはなれず、一つになったとしても、その後の事業が順調に行かない場合も多々あります。
もちろん、相手の会社がどんなリスクを抱えているか気にもなるところです。
そこで、共同で新設会社を立ち上げる方法が考えられます。
それぞれの会社が『新設分割』をして一つの会社を設立するのです。(共同新設分割)
共同で新会社を作成し、その動向を見守りながら将来の本格的な統合を模索することができるのです。
まさに、プレ事業統合というスキームであり、統合で失敗するリスクを低減することができます。
事業を独立経営させていくために、会社分割(新設分割)を利用することができます。
既存の会社と別会社となることで、会社のコンパクト化による経営のスピード化、独立採算によるモチベーションアップ、営業範囲の拡大、事業の分離によるリスク回避などが見込める場合があります。
なお、事業を現物出資して新会社を作る方法や、別会社を作ってから事業譲渡をする方法などでも同様の結果を得ることはできます。
しかし、会社分割には包括承継という性質があることで、他の手法よりもスムーズに手続ができる場合が多くあります。
また、税制の取り扱いも異なるため、事前のシュミレーションが重要となります。
『持株会社』を作るためにも会社分割は利用できます。
新設分割において、事業等の全てを新会社に持ち出せば、子会社の株式のみを持つ持株会社が誕生します。
例えば、物販部門と金融部門のあった会社の例では、2回の会社分割を行うことで持株会社を中心とする会社再編を実現していました。
まず、物販部門を新設分割で子会社化し、その後、分割会社に残っている事業者や権利義務全てを新設分割によって新会社に持ち出しました。
もちろん、『株式移転』の制度を利用して持株会社を作ることも可能です。
どちらを利用するかはかなり微妙な判断となり、許認可の引継ぎや税制上の差、手続コストの差などを比較したケース・バイ・ケースといったところです。

