不動産譲渡の場面で
会社が所有している不動産を売却するケースでも、会社分割を利用したほうがメリットが大きい場合があります。
いわゆる『不動産M&A』に類似したスキームになります。
不動産を普通に売却すると、税金等の様々な諸費用がかかります。
買う側からすると、登記時の登録免許税(通常は買主負担)や不動産取得税がかかります。
また、宅建業者が絡むと仲介手数料も必要となります。
これらの費用が、『会社分割⇒株式の売却』というスキームを使えば、節約できるのです。
《節約できる費用》
- 登記費用(登録免許税)
- 不動産取得税
- 仲介手数料
- 従業員の退職金
スキームの流れは?
情況によって、新設分割と吸収分割双方の利用が考えられます。
買主が自分の会社で事業用に不動産を使う予定ならば、吸収分割によって不動産とともに事業ごと飲み込んでしまうケースが多いでしょう。
反対に、別会社として分けておきたい場合や、再度転売を考える場合などは、新設分割によって不動産を所有するだけの子会社として存在させておくニーズが高いと思われます。
『新設分割』のスキームでは、まず不動産を所有するためだけを目的とした完全子会社を、新設分割によって生み出します。
次に、親会社がもっている子会社の株式を、不動産購入希望者に売ることになります。
通常ならば不動産そのものを売るところ、不動産を持っている会社の株を売る、という形に持ち込むのです。
買う側とすれば、「会社を所有する」という面倒があります。
しかし、不動産取得税は不要となり、登記時の登録免許税も条件を満たせば通常よりも減額されます。
コストの節約ができる、という大きなメリットが買主にあるため、うまくいけば通常の売買価格に節約できたコストの一部を、売買代金に上乗せして売却することができるかもしれません。
『吸収分割』ならば、不動産を含んだ事業ごと買主(分割承継会社)が引き受けることになります。
吸収分割の手続とともに、別途、不動産移転の登記を行います。
従来ならば、売主が買主の会社の株式を割当てられるため、後日その株式を売主が売却するというかたちで、不動産売却代金を回収することになっていました。
しかし、法改正に伴う分割対価の自由化によって、現在では、買主の株ではなく直接金銭を交付することも可能です。

